Japanese
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研究と報告
一卵性双生児の一方にのみ不安神経症を発現した不一致例
A Case of Angst Neurosis Observed in One of Monozygotic Twins.
熊野 明夫
1
,
飯田 真
1
H. Kumano
1
,
S. Ihda
1
1東大分院神経科
1Dept. of Neuropsychiat., Branch hospital, Faculty of Med., Tokyo Univ.
pp.424-428
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200711
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I.まえがき
双生児法による神経症の研究は,非常に興味深いものであり,神経症発現機構の解明に大きな示唆を与えるものである。ことに一卵性双生児では,二人の持つ遺伝因子は全く同一であると考えられるので,一卵性双生児の二人の間に,異なつた神経症症状を呈する場合,または一方にのみ神経症の発現をみる場合,二人の間の環境要因の違いを分析することにより,神経症発現機構の解明に直接迫ることができると期待できる。しかし今までに報告された一卵性双生児の不一致例は,Slater1),Lange2),Paterson3),諏訪ら4),飯田5),らに過ぎず,現在までなお数少ない現状であり,今後の一例一例の忍耐強い観察記録の積み重ねが,神経症研究に大きく貢献するものと考えられるので,今回われわれが経験した一卵性双生児の一方にのみ発現した不安神経症の不一致例を検討報告する。
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