Japanese
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研究と報告
精神分裂病に対するbutyrophenone系薬物R2498(Triperidol)の使用経験
Clinical Experiences on Schizophrenia with a Butyrophenone Derivative, R 2498—Triperidol.
矢幅 義男
1
,
奥山 保男
1
,
迎 昶
2
Y. Yahaba
1
,
Y. Okuyama
1
,
A. Mukai
2
1東北大学医学部精神医学教室
2岩手県立南光病院
1Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Tohoku University
2Iwate Prefectural Nanko Hospital
pp.699-706
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200748
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I.はじめに
最近の向精神薬物の発展,開発はまことにめざましく,臨床的に使用されているものも非常に多い。1959年,Labhardtは混乱したこれらの薬物を整理し,Neuroleptica,Tranquilizer,Thymoleptica,Psychotonicaに分けた。しかし,この分類にあてはめるにはいくぶん疑問をいだかせる薬物が見られ,これに対してNeurodyslepticaともいうべき概念がDivryら1)によつて提唱されている。これはNeuroleptica with neurodyslepticeffectというようなものであり,かれらは「この作用は精神分裂病の自閉の殻を打ち破る」と述べこれまで単に副作用といわれてきた作用のなかに治療的意味を考えたものである。この概念に含まれるべき薬物としてThioproperazine,Trifluoperazineなどがあげられる。
ここに報告するR2498(Triperidol)は第1図に示す構造をもち,化学的にはbutyrophenone系に属するものである。本系統のR1625(Haloperidol)は,すでに1958年に臨床実験が行なわれている2)。
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