Japanese
English
治療
Tetrabenazineの精神分裂病に対する使用経験
THE CLINICAL USE OF TETRABENAZINE TO SCHIZOPHRENICS
清水 順三郎
1
,
井上 敞
1
,
山崎 英雄
1
,
佐藤 壱三
2
Junzaburo Shimizu
1
,
Takashi Inoue
1
,
Hideo Yamazaki
1
,
Ichizo Sato
2
1千葉大学医学部神経科
2銚子市立病院精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry Chiba Univ. School of Medicine
2Dept. of Neuropsychiatry Choshi Hospital
pp.717-722
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201303
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われわれはbenzoquinolidine核を有する新らしい薬剤Tetrabenazine Ro−1-9569を精神分裂病13例に試用した。
1) その結果,著効2例,良効6例,不変4例,悪化1例を経験した。
著効良効例はいずれも今回の罹病期間1年以内のものである。
しかし不変例の1例は,多くの治療に抵抗してきた幻聴,体感幻覚をほぼ消失せしめたが,副作用のために中止せざるを得なかつたため結果として不変例といわざるを得なかつたものである。
2) 特に幻覚,妄想症状に対して有効であつた。
3) 随伴症状としては,投与初期に不安焦燥不眠等の症状を呈し,また一日量200mg以上で,手指振頭,言語障害等の軽度のパーキンソン様症状,および不安倦怠感不眠等を訴えるものが多かつた。
4) 投与方法は随伴症状等を考慮し,はじめ漸増法により,その後耐薬有効量を決定しこれを症状の改善をみるまで持続するのがよいと考える。
5) ESとの併用療法も,なんらの不安なく可能であり,充奮状態の強い時にはESまたは他の鎮静剤との併用が適当であろう。
6) 血圧降下作用はほとんどない。
7) 本剤投与による尿,血液の異常所見はまつたくみられず,肝障害,その他の身体異常所見も認められなかつた。
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