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研究と報告
気脳術に関する研究—気脳術装置ならびに気脳術後の空気Ringer氏液交換法について
A Study of Pneumoencephalography : (Ist Report) About Pneumoencephalographic Apparatus & Exchange Method of Air and Ringer's solution after P. E. G.
近藤 廉治
1
R. Kondo
1
1信州大学医学部神経科教室
1Dept. of Psychiat., Shinshu Univ. School of Med.
pp.41-46
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200659
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I.まえがき
精神科の領域においては以前から気脳術が行なわれていて,明らかな器質性脳疾患以外に,久しく精神病と脳室の関係が興味ある問題とされ,古くは内村,山本の研究があり,最近ではHuber,Gerdの報告が現われ,気脳術は間歇的にその重要性が認められてきている。しかしながら,気脳術中および術後にみられるはなはだしい苦痛を伴う副作用のために,この検査法はとかく敬遠されがちである。この副作用をのぞくために,E. G. Hultschは麻酔の立場から,Lindgren,Schapirs,岩崎,井上らは脳室への空気を少なくすることにより,Robertsonは空気の代わりに種々のガス体を用いるなど,これまでにいろいろな方法が考えられたが,脳室内の空気を除去することによつて,副作用を軽減しようとこころみた報告は,いまだに見当らない。著者はこの点に着目し,気脳術後,脳室内の空気を除去して,代わりにRinger液(以下R液とする)または患者自身の髄液を再注入する方法を考案し,1957年来多数例にこころみて,副作用軽減に予想外の好成績をうることができた。またX線撮影時に体位を変えたり,脳室内の空気を除去したりする操作を容易にするために,気脳術装置を考案作製し,これによつて気脳術中の時間と労力をはぶき,患者の苦痛を軽減することができるようになつた。この気脳術装置と,気脳術直後の空気除去という2つの新しいこころみには,なお改良検討の余地はあるが,一応ここに報告して読者のご参考に供したいと思う。
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