Japanese
English
研究と報告
いわゆるてんかん精神病の薬剤治療—新抗てんかん剤Ospolotのこころみ
Medical Treatment for the so-called Epileptic Psychosis: A Trial with "OSPOLOT", A New Anti-Epileptic Drug
桜田 高
1,2
,
高世 光弘
1,2
,
本間 俊行
1,2
,
荒井 紀久雄
1,2
,
秋浜 雄司
1,2
T. Sakurada
1,2
,
M. Takase
1,2
,
T. Honma
1,2
,
K. Arai
1,2
,
Y. Akihama
1,2
1弘前大学医学部神経精神科
2弘前てんかん研究所
1Dept. of Neuropsychiat., Hirosaki Univ., School of Medicine
2Hirosaki Institute for the Epileptics
pp.949-953
発行日 1962年12月15日
Published Date 1962/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200512
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Ⅰ.まえがき
近年,とくにここ1〜2年の間に新しい構造式をもつ数種の抗てんかん剤の出現をみ,てんかんの薬物治療はさらに一段と発展しかつ進歩を遂げようとしているかにみえる。しかしながら,概して少数ではあるが,てんかん者にその治療過程においてときおり遭遇する精神面の障害,とくにいわゆるてんかん精神病といつた状態に対する治療にはやはり多くの問題が残されている5)。
もちろん最近,上述のごとき症例にLevomepromazineやChlordiazepoxideがこころみられてある程度の効果がえられていることが報告されており,またわれわれも実際に経験しているところである。かかる状況下においてわれわれはこのたび,新抗てんかん剤Ospolot(Bayer)を使用する機会をえたのであるが,種々の被検者のうち,いちじるしいいわゆるてんかん性精神障害のために治療に困難をきわめてきた3例の効果には注目すべきものがあつた。これはある意味ではてんかん精神病の薬剤治療の可能性を示唆するものと思われるので,つぎにその症例を中心にして治療経過を報告する。
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