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資料
肢体不自由者の精神医学的研究—877名の実態調査・面接成績を中心として
Socio-psychiatric Aspects in the Orthopediac Patients
和田 豊治
T. Wada
pp.955-965
発行日 1962年12月15日
Published Date 1962/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200513
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Ⅰ.いとぐち
近年,日々促進されつつある社会福祉対策の実施にあたつて,社会-個人の相関の把握,そしてその問に派生する種々の問題の調整のために,精神医学が導入されてきている。しかしもともと更生を対象とする社会福祉の領域は広く,個人はもとより社会環境の面でも種々の問題をはらんでいるはずの身体障害者に関する社会精神医学的研究は意外に少ない。もちろん,身体障害者の中でも,盲・聾・小児マヒなどの個々の面については,ある程度の追究がなされている。しかしその一方,無選択の被検者集団を対象とした実態調査は予想に反して僅少なことも目につく。かかる見地から,つとにわれわれは身体障害者の生活実態や精神面に関心と興味をいだいていたのであるが,たまたまそれを調査・追究する機会をえた。
すなわちわれわれは昭和32年・33年の2年による巡回診査・更生相談に参加し,県内の身体間にわたり,青森県当局主催の身体障害者福祉法障害者のうちの肢体不自由者に接することができた。当時,県内の身体障害者数は推定約13,000,そのうち肢体不自由者が約5,600とみられていたが,該巡回相談において精神医学的見地から実際に調査・面接しえたのは877名であつた。これらの被検者は整形外科医による診査・相談のために集まつたものであるが,その間にわれわれは精神衛生面の相談を担当すると同時に,以下にのべるような本研究を実施した。
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