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I.緒言
従来の抗てんかん剤は,本来の催眠剤・鎮静剤から転用されたものであれ,特異的な抗てんかん作用をもつものであれ,いずれも,neurolepticな作用とともに共通の化学構造をもつのが一般的な特長である。すなわち,—CO-NH-CO-CR1R2—であつて,この構造はbarbiturate, hydan—toine, oxazolidine, phenylacetylurea, succi—nimide, glutarimideなどにみられるものである。しかし,他方,このシェーマを踏襲しない抗てんかん剤もあるのであつて,その1例としてsulfonamideのいくつかをあげることができる。sulfonamideを抗てんかん剤として用いた報告は,1941年のCohen & Cobbによるものが最初である。彼らは抗生物質として知られるAzosulfa—mide (赤色プロントジル)を初めて重症てんかん患者に用いて,その発作抑制効果を報告した。また,Bergstromらによる利尿剤Diamoxでのてんかん治療(1952),Solomonらによる,同じくsulfonamide系利尿剤Ethoxzolamideのてんかん治療への応用(1959)なども知られている。最近Bayerにおいて合成された数多くの新らしいsultam化合物が,Bonn大学のPharma—kologische Institutの協力によつて広汎な薬理学的検索を受け,その中で,N—(4'—sulfamylphe—nyl)—butansultam—(1-4)に著明な抗痙攣作用があることが各種動物実験で確かめられた。すなわちOspolotと名づけられた薬剤である。その後,Raffauf, Engelmeier, Flügel et al.によつて,てんかん発作に対するOspolotの臨床効果が観察された。彼らによれば,Ospolotはどの発作型に対しても抑制効果があるが,他の薬剤に比して特徴的な点は,側頭・嗅脳性,間脳性,あるいはその他の部位の局所性発作機序に対して効果がある点であるとのことである。今回われわれはバイエル薬品株式会社の御好意により本剤の提供を受けることができた。そこで主として上記の点について臨床効果を検討し,一応の結論を得たので,ここに報告することとした。
We have applied Ospolot, i.e. N-(4'-Sulfa-myl-phenyl)-butansultam-(1-4) on 33 epileptics, including 13 refractory cases. We have found that it is most effective for grand mal and then for psychomotor seizure type.
It has also proved effective for other vari-ous types of seizure including petit mal, show-ing a pretty wide spectrum.
We often noticed that it can control such seizure patterns which have been resistant to other antiepileptica hitherto administered. It does not aggravate the epileptic character abnormalities even in chronic deteriorated patients.
We believe, therefore, that it can be a strong armamentarium in the treatment of epilepsies, especially when used in conbina-tion with conventional antiepileptica.
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