研究と報告
欠陥分裂病に対する7843 R. P.(Thioproperazine)の臨床知見
錦織 透
1
,
遠坂 治夫
1
,
前田 正典
1
,
稲本 雄二郎
1
,
三好 郁男
1
,
中江 育生
1
,
川合 仁
1
1京都府立洛南病院
pp.507-513
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200342
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新しいPhenothiazine系薬物Thioproperazine(7843R. P.)を12名の欠陥分裂病者に試用し,1名の寛解,2名のいちじるしい改善,6名のかなりの効果と看護上の改善例をえた。ほかのPhenothiazine系薬物と同様欠陥状態にあるものでは,おおむね対症的療法の域を出ず,持続投薬と精神書療法そのほかの療法が併用される必要がある。しかし患者の分裂病性人格障害におよぼす治療的作用は従来のいずれのPhenothiazine系薬物にも劣らないと期待される。主観的分裂病症状期にはおおむねDampfungの効果が目だち,客観的分裂病症状期の患者には心的エネルギーの上昇,精神活動性の増大への効果が認められた。副作用はあらかじめ知つてさえおれば多彩というほどのものではないが相当に強い。
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