Japanese
English
研究と報告
病識に関する検討—分裂病欠陥状態を対象として
Eine Studie auf Krankheitseinsicht: beschränkend auf schizophrenischen Defektzustanden
勝山 信房
1
,
田中 義
1
,
有岡 巌
1
Nobufusa Katsuyama
1
,
Tadashi Tanaka
1
,
Iwao Arioka
1
1奈良県立医科大学神経精神科学教室
1Neuropsychiatrische Abteilung, Nara Medizinische Universität
pp.349-354
発行日 1971年4月15日
Published Date 1971/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201732
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I.緒言
古くは,自分が精神疾患を病んでいると意識しているかいなかが,疾病分類の一つの目安になると考えられていた。そしてまた,このような能力が欠如している場合には,その患者は精神病者であるとみなす傾向があった。しかし,Pick10),Heilbronner2)やHinrichsen4)5)をはじめとする諸著者により,さまざまな種類の精神病の患者においても,現在自分が病んでいるという意識を有している場合が多いことが指摘され,また提唱された。
一方,Jaspers6)がKrankheitseinsicht(病識)について厳密な定義づけをし,その定義が支配的なものとなっている。すなわち,彼によれば,病者が個々の疾病症状の全部,あるいは病全体として,その病の種類も重さも正しく判断できるならば,それを病識とするのである。しかし,彼の定義による病識なるものを一般臨床において扱う場合,かなりの問題点があることを感じる。
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