Japanese
English
研究と報告
Thioproperazineの間歇投与法について—精神分裂病に対する臨床治験
On the Intermittent Administration Method of Thioproperazine: Some Clinical Experiences on Schizophrenic Patients
鈴木 謙次
1,2
,
田村 喜三郎
1,2
,
川添 勇
1,2
,
鈴木 恵晴
1,2
,
延島 信也
1,2
K. Suzuki
1,2
,
K. Tamura
1,2
,
I. Kawazoe
1,2
,
Y. Suzuki
1,2
,
S. Nobushima
1,2
1慶応義塾大学医学部神経科教室
2松見病院
1Neuro-psychiatric Dept., School of Med., Keio Univ.
2Matsumi Mental Hospital
pp.157-163
発行日 1963年2月15日
Published Date 1963/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200534
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
近年,多くの向精神薬が発見され実用に供され,精神科領域における治療方法に大きな変革をもたらしたことは周知の事実である。しかしながら,従来はこれら薬剤を大量衝撃的に用いる場合にも,維持量を持続的に投与する場合にも,その投薬にあたつては,1日量を2〜4回に分割して毎日服薬せしめる方法がとられていた。
この方法は,薬剤の血中濃度をできうる限り一定にし,その効果の恒常性を目的とするという意味では合理的であるが,一面,多くの患者を収容している精神病院においては,服薬せしめることが看護者の日課の大きな部分を占め,症状の観察や生活指導などに必要な時間の多くを犠牲にせざるを得なくなつていた。その上,大部分の向精神薬は,投薬中倦怠感,ねむけ,錐体外路症状などの副作用を多少なりとも伴なうため,極く少量の維持量を使用している場合を除いては,服薬期間中,作業療法・遊戯療法などを含む精神療法の併用はほとんど不可能であつて,これも大きな欠点となつていた。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.