Japanese
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研究と報告
PT 360(Myamin)による精神疾患者の治療経験について
Clinical experiences of Myamin
柴原 堯
1
Y. Shibahara
1
1三重県立高茶屋病院
1Mie Prefectural Hospital "Takachaya"
pp.515-520
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200343
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Ⅰ.序論
精神病院の入院患者の大部分を占める精神分裂病の治療は,最近種々の薬物の出現,あるいは新しい病棟管理様式の出現によつて活発に行なわれるようになり,またその効果もいちじるしいものが認められる。しかしながらこれらの薬物はいずれも分裂病の急性期あるいは発病当初の時期には急激な効果をおさめうるが,入院中の精神分裂病の中でも,ことに発病以来相当の長年月を経過し内閉的で自発性のきわめて乏しい高度の痴成像の状態で沈滞している慢性分裂病に対しては比較的効果が乏しく,また副作用などの点で長期間の連用が困難であり,したがつていちじるしい効果を期待しえない例が多くみうけられる。
PT 360(Myamin)は5-phenyl-2-imino-4-oxo-oxazolidinの白色結晶性粉末であり,Schmidt2)およびLienert1)らの実験によれば覚醒アミンとリタリンなどの中間の中枢興奮作用を有し,ラッテにおける動物実験では有効量は5mg/kgで,作用は45〜60分で出現し,4〜5時間継続するといわれ,毒性試験においても急性毒性は500mg/kgで強い興奮作用があらわれるのみでほかに有害な副作用は認められず,また慢性毒性も100mg/kg3ヵ月投与にさいしても血液学的,組織学的変化は認められないといわれている。従前までの人体実験において,健康者では本剤10mgの投与で0.2grのカフェインと同程度またはそれ以上の作業能率の向上あるいは疲労状態の軽快がみられるが,著明な覚醒作用は認められず,またLienert1)らがのべているように比較的疲労している場合のほうがより明瞭な精神賦活作用が出現するといわれている。
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