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編集後記
T. A.
pp.96
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102647
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世の中には流行がある。しかし精神医学のように硬い分野でも流行廃りがあると痛感するようになった。心理学は正常心理学と異常心理学に分けることができる。私がフレッシュマンの頃は精神医学は専ら異常心理学を対象にしていた。たとえば当時から小児精神医学とか自殺の問題はあった。けれども前者なら,小児統合失調症やKanner症候群など限られた疾患論に偏っている観があった。また後者についても,今では信じがたいであろうが,精神医学が関わる現象であるという見方はとても乏しかった。つまり今なら当然の生育とか,地域のメンタルヘルスという観点はきわめて限られていた。
そのようなフレッシュマン時代の価値観に戻ってあらためて本号を読むと,この三十余年における精神医学・医療の激変が分かる。「子どもの成長を見守る」,精神医療のみならず社会病理としての自殺,さらに大型自然災害後のメンタルヘルス等々「正常心理学」と括られるテーマが並んでいる。
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