オピニオン 認知症の終末期医療の対応:現状と課題―尊厳をどう守るか
終末期にある認知症の患者の尊厳死―理念と実践
吉岡 充
1
1上川病院
pp.244-246
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102126
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簡単なこの国の老人医療の歴史
この国では世界でも初めての速度と加速度をもって超高齢化社会へ突入していった。50年,中には70~80年かけていった西欧諸国とは少し違い,高齢者医療の誤りがあった。救命などを最優先するという急性期のモデルしか知らず,慢性の,そんなには改善しない高齢者の生活を考えたモデルをあまり考えなかった時代が続いた。そんな中で認知症があり,転倒リスクや精神行動症状のある多くの人たちは,縛られたまま,多くは無念の死を迎えていったのである。そこには人権意識や彼らの尊厳に対する配慮などはほとんどなかった
皆,縛らないで老人医療なんてできっこないと確信さえしていたのである。人手の問題や医療費の安さ,出来高払いに頼らなければならないという制度上の問題もあった。
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