オピニオン 認知症の終末期医療の対応:現状と課題―尊厳をどう守るか
認知症患者の終末期医療―現状,課題,試案
飯島 節
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達科学専攻
pp.240-243
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102125
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はじめに
そもそも終末期を論ずるには何をもって終末期とするかについての共通認識が必要であるが,残念ながら終末期の定義は確立されていない。2001年に発表された日本老年医学会の「立場表明」では,「終末期」を「病状が不可逆的かつ進行性で,その時代に可能な最善の治療により病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり,近い将来の死が不可避となった状態」としている6)。この定義は,悪性腫瘍のように進行性で,しかも誰もが死が不可避であると認識している疾病の場合には,比較的適用しやすい。しかし,認知症の場合は,進行性でかつ根治療法は確立されていないにもかかわらず,認知症自体は直接死因であるとは認識されておらず,実際には肺炎などの合併症で亡くなることが多いために,終末期の判断はきわめて困難である。本稿では認知症患者の終末期の病態を検討し,あるべき対応について筆者個人の考えを述べたい。
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