「精神医学」への手紙
ECTの有効な「方法」を問う一歩―「発作時脳波を用いた急性期m-ECT施行アルゴリズム作成の試み」(本誌 53:263-270,2011)によせて
上田 諭
1
1日本医科大学精神医学教室
pp.1027-1028
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102004
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
国内のパルス波の無けいれん性電気けいれん療法(ECT)の施行方法は,施設によってまちまちである。あるいは,「方法」そのものへの意識が十分ではないということもできる。それも無理はない。サイン波の時代には,けいれん発作を一定時間認めるだけで臨床効果があったからである。極端にいえば,サイン波に方法というほどの方法はないに等しかった。電圧を設定して通電し,けいれんを確認するだけである。「とにかく電気をかければ治せた」のであり,「ECTをやった」といえばそれで話が済み,精神科医同士も共通認識が成立した。
しかしながら,パルス波では事情は大いに異なる。これまでの研究成果3,10)によれば,初回の適切な刺激用量(%)設定,主に発作時脳波による発作の有効性の評価,それに基づく2回目以降の刺激用量(「治療閾値7)」を超える刺激用量)設定,有効発作を抑制しかねない麻酔薬の種類・用量と併用薬(特にベンゾジアゼピン系薬剤)への配慮,発作増強の考慮8,9)などが不可欠であり,それらによって,パルス波ECTの治療の成否は決まるのである。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.