反社会性パーソナリティ障害の攻撃性と衝動性に対してリスペリドン持続性注射薬が有効であった1例

A Case of Antisocial Personality Disorder whose Aggression and Impulsivity was Redused by Risperidone Long-Acting Injection

はじめに

　反社会性パーソナリティ障害(以下，APD)は，本人が医学的治療を希望することは少なく，さまざまな問題行動を起こすため，医療の場で治療を受けることが困難である¹⁾。地域で問題行動を繰り返していたAPDが，交通事故の後単身生活が送れなくなり，入院を継続せざるを得ない状況となった。入院後も職員に対する暴言，暴力，嫌がらせなどの問題行動が繰り返され対応に苦慮していたが，リスペリドン持続性注射薬(以下，RLAI)の導入により問題行動が改善するという経過を経験したので報告する。なお，考察に支障のない範囲で，プライバシー保護のため症例の内容を変更した。