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シンポジウム 児童思春期の攻撃性・衝動性の理解と援助-ライフサイクルの視点から考える
子どもの不安と「うつ」と攻撃性・衝動性
Anger and Childhood Depression:Impulsivity in anxious children
猪子 香代
1
Kayo INOKO
1
1東京都精神医学総合研究所
1Tokyo Institute of Psychiatry, Department of Child and Adolescent Psychiatry, Tokyo, Japan
キーワード:
Depression
,
Anxiety
,
Anger
,
Impulsivity
,
Childhood
,
Adolescence
Keyword:
Depression
,
Anxiety
,
Anger
,
Impulsivity
,
Childhood
,
Adolescence
pp.73-79
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100378
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子どものうつ気分と行動上の問題
子どもの「うつ」の特徴は,一つには,表れてくる症候が,ひきこもりや意欲のなさなどの一般に「うつ病」から起こってくるであろうと予測されるようなものとはかけ離れたものもみられることである。大変な暴力や反抗的な行動を主訴に病院を受診する子どもたちがうつ気分を抱えていることがある。
しかし,彼らの多くは,うつ気分を話してくれないことが多い。うつ気分やいらいらした気分,絶望感や集中力のなさなどを隠してしまっている。攻撃的な感情も密接に関連して持っているために,周囲の大人が,彼らの感情を共感的に扱うことがきわめて難しい。彼らが話そうとしないのは,彼ら自身も自分の感情や行動を扱いかねているのであろう。そのことが,また,彼らの自己イメージを低くして,より自分の感情を話そうとしなくなり,孤独感や絶望感に拍車をかける。「自分はだめだ」「誰もわかってくれない」「どうしようもないんだ」という思いを抱いている。
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