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編集後記
M. I.
pp.1038
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101306
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今年の夏,首都圏では雷雨が多く熱帯地方のようだったが,本号が出るころにはすっかり秋になっているだろう。秋は夏の乱れを整えるかのような調和の季節だ。だが,我々にとっては学会の季節であり,臨床や講義との調整もあって,なにかと気ぜわしくなる。WPAも9月の下旬からプラハで始まる。
他の医学分野のことは知らないが,精神医学では心理社会的なものから生物学的なものまでどんどん幅が広くなってきている。海へと向かう川のように,その幅は年々拡大していくようで,20年前,30年前と比べるとこれがよくわかる。流れも急になってきている。こうした川幅と速度の変化は精神医学の社会的広がりと生物学的深まりとによっているのであろうが,毎日同じ所にじっと釣り糸を垂れているような臨床現場という川辺の1か所にとどまっていると,ふと見渡したときに,水かさが増して流れがあまりにも速くなっていて驚くことがある。川幅の拡大も流れの速度も,脳科学や遺伝子研究の発達だけではなく,社会の動きにもよっている。精神医学に注ぎ込む流れがあちこちからどんどん増え続けているのだ。しかもその水源がよくわからない。臨床現場にいるとき,我々はどこまでその広がりと速さとについていけるのだろうか。うっかりすると,足場を失いそうになる。
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