--------------------
編集後記
M. I.
pp.1212
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102625
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
早いもので,今年も本号が最終号となる。まずは本誌をご愛読いただき,また掲載論文を日々の臨床や研究に役立てていただいている読者の皆様に感謝申し上げたい。
さて本号でも,統合失調症の最新の遺伝子研究の展望・課題から歴史的なカプグラ症候群・フレゴリの錯覚の再評価に至る多様な内容が並んでいる。また,「児童精神科医の眠れぬ夜」と題した飯田順三先生による巻頭言が児童精神医療の現場における切実な問題を訴えている。そこで飯田先生は,最近の若い精神科医同様,児童精神科医の「DSMを金科玉条としてEBMしか受け入れない姿勢」,「あいまいなどちらにも転びそうな状態をしっかり受け止めて支えることの重要性を認識していない」傾向や,「力動精神医学的思考が隅に追いやられがちである」ことを述べておられるが,これらはいずれも実に大切な指摘であろう。たしかに本号でも,エビデンスベースの研究や力動精神医学的視点とは無縁な認知行動療法に関する論文がいくつも掲載されている。これらの論文が価値あるものであることは論を待たないが,本誌が飯田先生の危惧する流れに棹さすことがないように目配りしたいものである。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.