オピニオン メチルフェニデートの有用性と有害性をめぐって
Methylphenidateのうつ病に対する有効性について
樋口 輝彦
1
1国立精神・神経センター武蔵病院
pp.590-594
発行日 2005年6月15日
Published Date 2005/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100820
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はじめに
Methyphenidate(MPD)の依存・乱用の問題は今日,社会問題にもなるほど重要課題になっている。MPDは精神刺激薬であり,覚醒作用を有することは広く知られている。MPDの適応症は「ナルコレプシー」と「抗うつ薬で効果不十分な難治性,遷延性うつ病」であり,小児のAD/HDに対してはoff-labelで用いられている。MPDの乱用・依存を肯定する医療関係者はいないが,現実には医師の処方したMPDによって乱用者,依存者が生じていることを考えると,今のままでよいという意見はたぶん,どこからも出てこないであろう。しかし,最近,MPDの適応症からうつ病を削除したいというメーカーの動きがあると聞くが,この議論をする前提はあくまでも科学的根拠によるべきであり,社会問題化している依存・乱用の防止と分けて論ずべきであると考える。うつ病の適応を削除するのはうつ病に有効性がない,あるいは安全性が担保できないことが根拠にされるべきで,依存・乱用の問題と分けて論じないと混乱するのである。そこで,ここではMPDがうつ病に有効か,安全かについて,これまでの内外の比較試験を中心にレビューすることにした。
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