書評
気まぐれ「うつ病」―誤解される非定型うつ病
樋口 輝彦
1
1国立精神・神経センター
pp.102
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101159
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最初にこの本の表題を見たときには,久々に新たな呼称の「うつ病」が登場したかと思った。これまで歴史的に多くのうつ病概念が提唱され,その特徴に応じた名称が与えられてきた。「荷降ろしうつ病」「根こぎうつ病」「逃避型抑うつ」「仮面うつ病」などなど。DSM-Ⅲ以降,大うつ病に一括されて以来,このような呼称はあまり表に出なくなり,新たな呼称も登場しなくなったので,やや寂しく感じている方も少なくないと思われる。小生もこれまでの呼称には味わい深いものがあり,正規の診断名とするかどうかは別にして,日常的に使うのは大変便利であると感じている。したがって,「気まぐれうつ病」を目にしたときには,「久々のヒット病名現る」とやや大げさであるが狂喜乱舞した。
しかし,実際に中身を読み進むうちに,著者が「非定型うつ病」を「気まぐれうつ病」と命名していることがわかり,興奮した気持ちはトーンダウンしたが,逆に新たな発見ができて,その感動にひたることになった。
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