「精神医学」への手紙
Methylphenidateについての精神医学的問題点―佐藤らの試論を読んで
風祭 元
1
1帝京大学
pp.554-555
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100664
- 有料閲覧
- 文献概要
佐藤,他2名の試論1)を拝読した。たまたま本誌掲載号の発売前に,新聞紙上でリタリン〔methylphenidate (MPD)の商品名〕依存症の増加と安易な投薬を警告するキャンペーン記事2)が掲載され,筆者も電話取材を受けてわが国におけるMPDの臨床的使用の経緯などを検討したので若干の追記をしたい。
MPDは1954年にドイツで初めて発売され,1958年にわが国に輸入が承認されて,1961年に薬価基準に登載された。当時は薬剤の規制は現在とは異なりゆるやかで,使用説明書の記載も簡単であったようであるが,最初の効能は「うつ病」「抑うつ性神経症」で用量は成人1日20~30mgとされていた。1969年に「不眠を避けるため夕刻以後使用不可」,1973年に「薬物依存性があるので慎重投与」の注意事項が追記された。以後,「使用説明書」の記載は年々詳細になり,禁忌・慎重投与・相互作用・副作用などが詳しく記されるようになった。1973年には「小児には慎重投与」,1977年には「安全性が確立していないので6歳未満には投与不可」となった。1978年にはナルコレプシー(用量1日20~60mg)が効能に追加された。1979年に効能の病名が「軽症うつ病,抑うつ神経症」に変更された。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.