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特集 血流と肝画像
血流からみた肝臓―解剖・病理学的見地から
Hemodynamics in the Liver: from Point of View of Anatomical Pathology
中島 裕
1
,
塩田 浩二
1
,
神代 正道
1
Yutaka NAKASHIMA
1
,
Kouji SHIOTA
1
,
Masamichi KOJIRO
1
1久留米大学医学部病理学
1Department of Pathology, Kurume University School of Medicine
キーワード:
肝臓
,
血流
,
血管構築
,
肝硬変
Keyword:
肝臓
,
血流
,
血管構築
,
肝硬変
pp.133-136
発行日 2000年3月15日
Published Date 2000/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900487
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肝臓は肝動脈,門脈という二重の輸入血管で栄養され,正常肝では肝臓への血液の約75%は門脈によって運ばれ,わずかに25%が肝動脈によって運ばれるにすぎない.これらの流入血液は正常肝では肝小葉の類洞を流通し,肝静脈から流出していく.このような血行動態は慢性肝病変の進展とともに著しく変化する.正常肝では脾静脈と下腸間膜静脈が合流し,これに上腸間膜静脈が合流して門脈となり,左右の両主幹に分かれて肝門に入り分岐し,各区域に至る.肝内では門脈血はinlet venuleより類洞へ注ぎ,動脈からpelibiliaryplexusを始めとするルートを介して門脈あるいは類洞へ注ぎこみ,類洞を通過した血流は中心静脈および肝静脈を経て肝外へ流出される.各所での括約筋や狭窄および類洞壁細胞などによる微小循環での調節が考えられている.肝硬変の成因は多種,多様であるが,硬変肝ではほぼ共通した血管の変化が見られる.組織学的には肝硬変偽小葉の線維性隔壁には動脈枝が増生し血管網を形成するとともに,この血管網の中には門脈枝が混在し肝硬変における動脈―門脈吻合の原因の1つとなっている.さらに肝静脈や門脈の狭窄,閉塞,血栓形成などが高頻度に見られる。これらの変化は慢性肝疾患の進行とともに多種多様な修飾を受け,血流および血管構築,血行動態の改変を強める.
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