Japanese
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Current Opinion
拡張型心筋症の治療—自己心修復手術を中心に
Treatment in Dilated Cardiomyopathy Surgical procedures in patients with dilated cardiomyopathy
磯村 正
1
Tadashi Isomura
1
1湘南鎌倉総合病院心臓血管外科
1Department of Cardiovascular Surgery, Shonan Kamakura General Hospital
pp.1259-1263
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910122
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拡張型心筋症の治療をめぐる最近1年間の話題
拡張型心筋症は“左室を主体とする収縮障害に特徴づけられた心筋障害”であり,原因不明のものから,虚血性など二次性の心筋障害を含むようになったが,心不全に対する内科的投薬治療,ことにACE阻害薬,β遮断薬,アミオダロンの導入により,本症の予後は改善されつつある1,2).しかしながら,末期状態では心臓移植が唯一の砦となり,補助心臓がそのブリッジとして応用されている.しかし,世界的にもドナー不足は深刻で,移植を希望する数の10%にも満たず3),昨年度の米国の統計でも2,500人程度の心臓移植例であった.
わが国では,1997年10月に“臓器移植に関する法律”が施行され,ようやく本年心臓移植が再開され,8月までに3例の成功例をみた.しかし,ドナー不足は欧米以上に深刻で,補助心臓も駆動装置の小さいポータブル型は保険適応外であり,治療法の多くは内科的治療であり,この領域での心臓外科治療の報告はほとんどなかった.欧米でも心臓移植が約30年の歴史のなかで安定した成績をもたらし,10年生存率も示されるようになった一方で,慢性期での免疫抑制療法での副作用,拒絶反応としての冠動脈硬化なども生じることが示され,さらに,ドナーの数は世界的にもこの10年程度は3,500〜4,000例で増加傾向はなく,新しい治療法が待たれていた.
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