Japanese
English
Current Opinion
呼吸器領域の新興再興感染症
Emerging and Re-emerging Respiratory Infections Disease
川名 明彦
1
Akihiko Kawana
1
1国立国際医療センター呼吸器科
1Department of Pulmonology, International Medical Center of Japan
pp.1253-1257
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910121
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呼吸器領域の新興再興感染症をめぐる最近1年間の話題
近年,新しい病原体の出現や,終息したかに見えた病原体の再増加が「新興再興感染症」,“emer—ging, re-emerging infectious diseases”として注目されている.新興感染症は「最近の20年間に明らかになった病原体による感染症」と定義されるが,本概念が米国のInstitute of Medicineにより提唱された時期から遡って1973年以降に発見されたものを指すことが多い.例えば,ロタウイルス(1973年),エボラウイルス(1977年),ヒト免疫不全ウイルス,ヘリコバクターピロリ(1983年)などによる感染症があげられる.一方,再興感染症は「以前より存在した感染症で,公衆衛生上ほとんど問題にならない状態になっていたが,近年再び増加してきた病原体によるもの」を指し,耐性を獲得した細菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌,バンコマイシン耐性腸球菌など)や結核,コレラなどが含まれる.
本稿では「新興再興感染症」のなかでも特に呼吸器に関係する5疾患を選び,その最近の話題を特に臨床的な立場から概観した.
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