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特集 循環器疾患の遺伝子診断と遺伝子治療
心筋疾患の遺伝子異常・多型と診断
A Molecular Basis for Cardiomyopathies
西 宏文
1
Hirofumi Nishi
1
1久留米大学医学部第三内科
1Department of Internal Medicine III, Kurume University School of Medicine
pp.1187-1194
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910112
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はじめに
近年の遺伝子工学の進歩に伴い,循環器疾患でも原因遺伝子ならびに遺伝的危険因子の解明に向けた研究が進んでいる.原因遺伝子の解明は,肥大型心筋症,拡張型心筋症,不整脈源性右室心筋症,心Fabry病,Marfan症候群などの単因子遺伝性疾患を対象に,遺伝的危険因子の解明は,遺伝子多型を用いて,虚血性心疾患,高血圧などいわゆるcommon diseaseを対象に進められている.これらのうち拡張型心筋症では20〜30%に家族性がみられることから,家族内発症例を対象に原因遺伝子の解明を,孤発例を対象にHLA(ヒト主要組織適合抗原遺伝子)遺伝子やMnSOD(Mn superoxide dismutase)遺伝子などの遺伝的多型などの解析を通じて疾患感受性・疾患抵抗性遺伝子の検討が行われている.
心筋疾患は,従来原因不明であった特発性心筋症(肥大型心筋症,拡張型心筋症,不整脈源性右室心筋症ならびに拘束型心筋症)と,Fabry病や筋ジストロフィーなどの疾患に伴って,心肥大や心不全を来す続発性心筋症に分類される.本稿では最も遺伝子解析が進んでいる肥大型心筋症を中心に,これら心筋疾患の遺伝子解析の現状について述べるとともに,心疾患のなかで近年急速に遺伝子解析が進められているQT延長症候群についても述べることにする.
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