今月の主題 イオンチャネルの変化と心臓
話題
心筋疾患と遺伝子異常
岩見 元照
1
,
西 宏文
2
,
古賀 義則
1
Gensho IWAMI
1
,
Hirofumi NISHI
2
,
Yoshinori KOGA
1
1久留米大学医学部附属医療センター循環器科
2久留米大学医学部第3内科
キーワード:
心筋症
,
遺伝子工学
,
遺伝子異常
Keyword:
心筋症
,
遺伝子工学
,
遺伝子異常
pp.640-647
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904415
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1.心筋症とは
心筋症(cardiomyopathy)は表1に示すように心筋自体の病変のために心不全,不整脈などの心機能障害をきたす疾患で,突然死の原因としても重要である.このように本症は心臓の基本的な構造である心筋の病気であるが,臨床的に心筋症が認識されるようになったのは意外にも比較的新しい.すなわち,1960年代心臓カテーテル検査や心臓手術の発達に伴い先天性心臓病,弁膜症,冠動脈病変,高血圧など明らかな原因がなく心肥大や心拡大をきたす症例がみられることが報告され,原因不明な心筋の病気として原発性心筋疾患(primary myocardial disease;PMD)や特発性心筋症(idiopathic cardiomyopathy;ICM)と呼ばれるようになった.その後,分子遺伝学の進歩により次々と心筋症の原因遺伝子が同定され,もはや原因不明とは言えなくなった.そこで1995年のWHO/ISFCの提案(表1)では,心筋症の定義が"心筋機能障害を伴う心筋疾患"と変更され,"原因不明な"とする説明は削除され,また特発性という形容詞も省かれた.
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