Japanese
English
特集 睡眠呼吸障害—生活習慣病の危険因子として
脳循環障害
Sleep Disorder Breathing as a Risk Factor for Cerebral Vascular Disease
小野 容明
1
,
太田 保世
1
Yoshiaki Ono
1
,
Yasuyo Ohta
1
1東海大学医学部呼吸器内科
1Department of Pulmonary Medicine, School of Medicine, Tokai University
pp.1181-1185
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910095
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はじめに
本稿では睡眠呼吸障害と脳循環障害の関係について,これまでの研究者らが残した優れた功績を振り返るとともに,睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)が引き起こすさまざまな合併病態のうちVascular events,すなわち脳血管障害に焦点をあてることにする.
現在,わが国の脳血管障害の患者数は173万人といわれる.かつては死亡原因の第1位を占めた脳血管障害は,現在癌に次いで第2位にあるものの,その医療費は1兆9千億円(1994年度)で日本総医療費の1割弱を占め第1位である.また発症1年以内に1/3が死亡,1/3が要介助を余儀なくされており,寝たきりの原因の4割,訪問看護利用者の4割を占めるという.このような背景を持つ脳血管障害の患者は,今後は高齢化に伴いさらに増加することが予想されている.SASが,その発症の一要因となりうるというこれまでの知見から,その予防のためにも,当該疾患の正確な診断と早期治療導入がもたらす医療経済効果は多大なものがあると考えられる.
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