Japanese
English
特集 循環器疾患の治療における持効性製剤の意義
抗狭心症薬・剤
Anti-Anginal Drugs
渡辺 𠘑
1
,
加藤 和三
1
Hiroshi Watanabe
1
,
Kazuzo Kato
1
1心臓血管研究所
1The Cardiovascular Institute
pp.1081-1089
発行日 1990年11月15日
Published Date 1990/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910041
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狭心症は冠血流による心筋への酸素供給と心筋の酸素需要の破綻に基づいておこる。酸素供給は冠動脈の器質的狭窄あるいは一過性の攣縮ないしtonus亢進により減少,一方需要は心拍数増加,心室壁張力増加,心収縮性亢進で増大し,狭心症発作の発現にはこれらが種々の程度に関与する。硝酸薬,Ca拮抗薬,交感神経β受容体遮断薬,nicorandilなどの抗狭心症薬はそれぞれ判徴ある機序で心筋の酸素需給バランスを改善する。それそれ多くの製剤があるが,最近の抗狭心症薬開発の方向として効果が長時間持続する製剤に力点がおかれ,1日2回あるいは1回投与の薬剤が多数市販されるに至っている。しかしこれらの持効製剤は普通製剤に比し,投与後長時間を経過した深夜,早朝の発作の予防に役立つ,投与回数が少なくてすむためcomplianceが良いなどの利点がある反面,一般に効果の発現が遅く速効が必要ね場合は不適当である,また副作用が出現した場合に消失に時間がかかるなどの問題点があり、さらに重要なことは,硝酸薬について投与中に効果が減弱ないし消失する耐性の問題をクローズアップすることになった。本稿ではかかる抗狭心症薬につき速効製剤ないし普通製剤と持効製剤の効果を比較するとともに耐性をはじめとするおのおのの薬剤の問題点にふれることとする。
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