Japanese
English
Bedside Teaching
狭心症の臨床経過と予後
Clinical Course and Prognosis of Angina Pectosis
加藤 和三
1
Kazuzo Kato
1
1財団法人心臓血管研究所
1The Cardiovascular Institute
pp.849-856
発行日 1971年10月15日
Published Date 1971/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202315
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はじめに
周知のごとく狭心症は独立した疾患名であると同時に主として冠動脈疾患の1つの臨床症候でもある。冠動脈疾患は臨床上時に急死,心不全,不整脈あるいは心電図異常として発現することもあるが,その大部分は狭心症または心筋梗塞としてはじまる。最初いわゆる狭心症発作をおこすものと心筋梗塞発作をきたすものとはおおよそ同数といわれている。両者の差は冠動脈病変の質的ならびに量的な違いと代償機転のいかんによるものであろうが,冠動脈疾患のその後の経過は初発症状がいずれであるかによって明確に分かれるものではない。狭心症の経過中心筋梗塞発生をみることがまれでない一方,心筋梗塞ではじまったものの約半数は後に狭心症発作を示すにいたる。心筋梗塞の有無が予後に影響することは確かであるにしても,以上の観点から冠動脈疾患の経過,予後を考えるに当っては,少なくとも二つの立場,すなわち狭心症からみる場合と心筋梗塞を対象とする場合が必要であり,両者を併せてはじめてその全貌を知ることができると思われる。
今回はそれらのうち,狭心症からみた冠動脈疾患の予後と,従来断片的にしか観察されていなかった狭心症の臨床経過や心筋梗塞の発生につき著者らが最近647例で検討した成績にもとづいて解説する。
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