Japanese
English
特集 血行力学的にみた大動脈弁膜症
大動脈弁膜症における冠循環およびその狭心症のメカニズム
Coronary Circulation in Aortic Valvular Diseases and Mechanisms of Angina Pectoris in Them
加藤 和三
1
,
新谷 冨士雄
1
,
渡辺 坦
1
,
傳 隆泰
1
,
渡辺 𠘑
1
Kazuzo Kato
1
,
Fujio Shintani
1
,
Tan Watanabe
1
,
Long Tai Fu
1
,
Hiroshi Watanabe
1
1心臓血管研究所
1The Cardiovascular Institute
pp.288-298
発行日 1973年4月15日
Published Date 1973/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202479
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大動脈弁が障害されると体循環の様相にかなり大きな変化が生ずる。それらの中には弁障害自体を反映するものもあるが,身体の代謝需要に応ずる代償性機序とみなされるものも少なくない。また,同時に当然のことながらこの弁障害を伴った心臓を構成する心筋に血液を供給する冠循環にも者しい血行動態変化がおこる。この冠循環の変化は主として代謝性要因または理学的因子によるもので,体循環の変化に伴ってふえた心筋の仕事量にみあったエネルギーを心筋に補給するための代償機転とみなすことができる。大動脈弁膜症ではこのような体循環および冠循環両者における代償機転が働いており,それによって必要な身体のエネルギー代謝が維持されている場合はあまり症状を呈さないのが普通である。しかし,もしこの代償機序が不満足になった時にはさまざまの非代償性臨床症状が出現するに至る。その主なものは心不全と狭心症であり,前者は体循環の,後者は冠循環の代償不全の現われである。両者はたがいに密接な関係にあり,臨床的には判然と区別できないこともまれでないが,そのいずれに関する知見も近年の血行力学的分析方法の進歩に伴って急速に進歩してきた。
本稿ではこのうち冠循環の変化について述べ,あわせてその狭心症との関係について考察してみたい。
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