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特集 循環器疾患の治療における持効性製剤の意義
抗不整脈薬・剤—持効製剤・併用療法
Antiarrhythmic drugs:Long-acting drugs,combination therapy
高垣 健二
1
,
大江 透
1
Kenji Takagaki
1
,
Tohru Ohe
1
1国立循環器病センター内科心臓部門
1Division of Cardiology, National Cardiovascular Center
pp.1073-1079
発行日 1990年11月15日
Published Date 1990/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910040
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はじめに
抗不整脈薬による不整脈の治療の目的は,抗不整脈薬の血中濃度を有効域に維持することにより患者の不整脈を有意に減少させて延命をはかることである。抗不整脈薬の血中濃度を有効域に維持するためには,最大有効血中濃度を越えずに最小有効血中濃度を上回るような投与量と投与間隔を設定する必要がある。最大有効血中濃度を越えると副作用が出現するし,最小有効血中濃度に達しないと効果が十分に発揮されない(図1)。抗不整脈薬の有効域は他の薬剤に比べて狭いので,患者の病態にあった薬剤を選択して過不足なく投与し,血中濃度を有効域に保つ必要がある1〜3)。
従来の抗不整脈薬は効果持続時間が3から6時間と短く,1日に3から4回の投与を必要とした。1日に3回の投与でも,朝,昼,夕食後の投与が必要であり,患者の負担は大きいものがあった。特に働き盛りの中年男性などでは,昼食後の服用は負担が大きく,また飲み忘れも起こしやすかった。しかし,この3から4回投与でも,薬の投与前や,特に深夜から明け方にかけては薬の効果の切れ目,つまり薬物血中濃度の低下を生じることがあった。この時間帯には不整脈の出現を認めて,24時間持続する安定した効果が得られない場合も少なくなっかった。また,薬剤の半減期が短い場合は,薬剤の投与後に急速に血中濃度が上昇して急速に血中濃度が低下するため副作用の発生頻度も高い傾向にあった。
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