Japanese
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特集 心筋リモデリング
心室リモデリングの分子病態
Molecular Mechanisms Ventricular Remodeling
倉林 正彦
1
Masahiko Kurabayashi
1
1群馬大学医学部第二内科
1Second Department of Internal Medicine, Gunma University School of Medicine
pp.1193-1200
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902574
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はじめに
心不全の原因は多様であるが,心不全の進行には共通して心室リモデリングが主要な役割をもつ.したがって,心不全の病態理解や有効な治療法の開発にとって心室リモデリングの分子機構を明らかにし,その過程を抑制ないし正常化するメカニズムを解明することは非常に重要である.これまでにアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB),β—交感神経遮断薬などを用いることによって,拡張した心臓は小さくなり,より正常に近い形になることで心臓メカニックスがより効率のよいものとなるが,その詳細な機構については不明である.
一般に,心室リモデリングは機械的,神経体液性因子,あるいは遺伝的要因によって心室が大きさ,形,機能を変える過程である1).リモデリングには,①正常な個体発生の段階に起こる生理的あるいは適応現象として起こるものと,②心筋梗塞,心筋症,高血圧あるいは弁膜症によって起こる病的なものを含む.本稿では,特に心筋梗塞後や拡張型心筋症のリモデリングの分子病態について述べる.
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