Japanese
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特集 気管支喘息の新しい視点
気管支喘息の遺伝的側面
Genetical Aspects of Bronchial Asthma
棟方 充
1
,
川上 義和
1
Mitsuru Munakata
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学医学部第一内科
1The First Department of Internal Medicine, Hokkaido University School of Medicine
pp.865-872
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900340
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はじめに
今日の分子遺伝学の進歩は,多くの遺伝性の強い疾患の原因を日々明らかにしつつある.突然変異遺伝子に原因のある単一遺伝子異常(monogenic disorder)に限ってもすでに4,000もの疾患が知られ,このうち酵素異常による疾患だけでも200種以上が知られるようになった,遺伝性はあるもののその関与が単一遺伝子異常ほど明瞭でない疾患は遺伝的要因と環境要因との複雑な相互作用により発症するため,その解析は困難を極めていた.気管支喘息もこのような疾患の一つである.特に小児喘息ではアトピー素因の関与が重要視され,成人でも半数以上の患者ではⅠ型アレルギーの関与がある.古くから,気管支喘息,アトピー性疾患に遺伝的要因があるとされてきたが,その遺伝形式・遺伝子の本体などに関しては全く不明であった.しかし,近年の分子生物学・分子遺伝学の進歩により,わずかながらではあるがその本体が解明されつつある.ここでは,気管支喘息の遺伝的側面についての古典的アプローチでの問題点の整理と,これを解決しようとする新しいアプローチのいくつかを紹介したい.
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