Japanese
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Bedside Teaching
肺血栓塞栓症と下大静脈フィルター
Pulmonary Thromboembolism and Inferior Vena Cava Filters
山田 典一
1
,
中野 赳
1
Norikazu Yamada
1
,
Takeshi Nakano
1
1三重大学医学部第一内科
1First Department of Internal Medicine, Mie University School of Medicine
pp.927-934
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902534
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はじめに
肺血栓塞栓症は,主として静脈内に形成された血栓が遊離して,急激に肺血管床を閉塞することによって生じる急性肺血栓塞栓症と,原因は明らかでないものの既に器質化した血栓によって肺動脈が閉塞狭窄することにより肺高血圧を呈してくる慢性肺血栓塞栓症に大きく分けられる.ここで述べる肺血栓塞栓症は,特に断らない限り急性を指すこととする.
肺血栓塞栓症はわが国においても急速に増加しており,肺血管を閉塞する血栓量によっては突然死の可能性を有する重篤な疾患である1).肺血栓塞栓症の塞栓源の多くは下肢もしくは骨盤内の深部静脈血栓であることはよく知られた事実であるが,ここで取り上げる下大静脈フィルターは,そうした静脈血栓が遊離した際に肺動脈へ流入するのを防ぎ,肺血栓塞栓症の発症予防や再発予防に有効と考えられる.しかし,これまでにフィルターの有効性や合併症の頻度を検討したran—domized studyはPREPIC2)のみであり,それ以外の多くの報告はフィルターを使用されたまとまった数の症例報告にすぎず,エビデンスといえるデータは極めて乏しいのが実情である.
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