Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
血管内視鏡をめぐる最近1年間の話題
血管内視鏡検査は三次元画像により血管内の性状をリアルタイムに知りうる検査である.1985年に動物実験で内視鏡が血管内の観察に使用されて以来1),冠動脈をはじめ肺動脈,末梢血管などの観察を通して,特にわが国において血管内視鏡の臨床応用が進み2,3),循環器領域においては,血管のなかでも冠動脈内の観察において血管内視鏡が使用されることが多く,主に冠動脈内視鏡として臨床応用が進んでおり,特に虚血性心疾患の診断に応用されている.
最近1年間の血管内視鏡をめぐる最も大きなテーマはvulnerable plaqueの検出に関するものである.虚血性心疾患のなかでも急性冠症候群は予後不良であり,その一次および二次予防は重要である.急性冠症候群とは,不安定狭心症,急性心筋梗塞症あるいは虚血性心臓突然死などの疾患群であり,その病態は冠動脈プラークの崩壊とそれに引き続く血栓形成により冠動脈内腔が完全または亜完全閉塞に至るものであるといわれている4,5).急性冠症候群の予防は,まずそれを予知することから始まるが,その本態は崩壊しやすい冠動脈プラーク,いわゆるvulnerable plaqueを検出することである.生体内におけるvulnerableplaqueの検出方法として確立されたものはなく,現在vulnerable plaqueを検出することは様々な画像診断における重要なテーマである6).そのうち,侵襲的な方法として冠動脈内視鏡,冠動脈内超音波(IVUS)7),IVUS elastography8),Thermo—graphy9),Optical coherence tomography(OCT)10),Raman Spectroscopy11),Near—Infrared(NIR)Spectroscopy12)などが挙げられるが(表1),なかでも冠動脈内視鏡は,生体内において冠動脈プラークを直視できるという特徴から,vulnerable plaqueを検出する方法の一つとして有用である可能性が高いと考えられる.冠動脈内視鏡によって観察されるプラークは一般に内腔表面の隆起として観察されるが,その所見は色調により白色プラークと黄色プラークに分類される13,14).黄色プラークは一般的にvulnerable pla—queに近いと考えられており,様々な臨床的検討により,その存在意義が明らかになりつつある.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.