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Current Opinion
急性呼吸促迫症候群(ARDS)—最新の薬物療法と発症機序を中心に
New Therapy and Pathogenesis of Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS)
石橋 正義
1
,
吉田 稔
1
Masayoshi Ishibashi
1
,
Minoru Yoshida
1
1福岡大学医学部呼吸器科
1Department of Pulmonary Medicine, School of Medicine, Fukuoka University
pp.609-613
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902488
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急性呼吸促迫症候群(ARDS)をめぐる最近1年間の話題
最近,急性呼吸促迫症候群(acute respiratorydistress syndrome:ARDS)に対する薬物療法としては,呼吸不全対策を中心とした低1回換気量療法などの新しい呼吸管理法に加えて,免疫生化学的な薬物療法も試みられている.しかし,ARDSに対してエンドトキシンや各種サイトカインに対するモノクローナル抗体などを用いての臨床応用についての検討が行われたが,現状では発症後有効なものはほとんどない1).
ところで,ARDSの危険因子のなかで頻度が高く予後不良なものとして敗血症症候群(septicsyndrome)が挙げられている.これを含む全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory respon—se syndrome:SIRS)という概念が1991年8月のAmerican College of Chest Physicians(ACCP)/Society of Critical Care Medicine(SCCM)において初めて提唱され,従来不明確だった敗血症sepsisについても新たな定義が提唱された2).この結果,ベッドサイドでも診断が容易になり,acute lung injury(ALI)の定義ともあいまって早期の治療の開始が可能になり,SIRSやALIの段階を対象とした臨床治験が多くみられるようになった.
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