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冠動脈再灌流療法後の急性冠閉塞予防の必要性
急性心筋梗塞発生早期の再灌流療法は従来の不整脈や心不全などの重篤な合併症を主体とする治療と比べ梗塞の縮小を目的としており,より合理約な治療である.再灌流成功例では左心機能の保持や死亡率の減少が確認されている.現在,急性心筋梗塞の再灌流の方法として血栓溶解療法やPTCAが行われており,その成功率は高い.しかし,たとえ,再灌流療法に成功しても,その後図1に示すように,再灌流療法により多少の違いがあるにせよ再閉塞が約5%から20%に生じる1〜5).特に血栓溶解療法を行った後,rescuePTCAの再閉塞は血栓溶解療法のみの11%に比べ21%と高値である.また,これらの再閉塞は血栓溶解療法の種類によっても異なり,血栓上のフィブリンに特異性をもつtissue plasminogenactivatorのrescue PTCAの再閉塞率は高くTAMI studyでの報告では29%にも達している.一方,血液相のプラスミンを活中性化させるウロキナーゼ後のrescue PTCAでは12%であり,両者の併用では4%であった1).
再閉塞を生じた例は開存を持続した例と比べ左室機能の改善が少ないのみならず,予後も悪い(図2).Ohinan5)らによると,血栓溶解療法後再閉塞を生じた例は再閉塞を生じなかった例に比べ心筋梗塞部の局所の心駆出率,壁の動きが悪く,呼吸不全や高度房室ブロックを生じやすく,病院内死亡率はそのまま開存していた症例の4.7%に比べ10.3%と約2倍に達している.そのため,一旦開存した心筋梗塞灌流冠動脈をいかにそのまま持続させるかが非常に大切な治療法となっており,adjunctive therapyとして種々の方法が試みられている.
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