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特集 心血管系における再生医療・遺伝子治療
再生医工学の心臓血管外科への応用
Clinical Application of Tissue Engineered Vascular Autografts
柏木 潤一
1
,
新岡 俊治
1
,
黒澤 博身
1
Junichi Kashiwagi
1
,
Toshiharu Shin'oka
1
,
Hiromi Kurosawa
1
1東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所心臓血管外科
1Tokyo Women's Medical University, The Heart Institute of Japan, Department of Cardiovascular Surgery
pp.371-376
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902454
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心臓血管外科領域における理想的な補填材料は未だ発展途上にある.先天的に心血管構造が欠損または低形成の場合,血管再建に人工血管または異種心膜ロールを用いる術式が行われる.しかし,成長期の小児においては人工物の遠隔期での石灰化,導管の劣化,再狭窄のため,10年以内に再置換手術が必須となっている.近年,術後の再手術を回避する目的で可及的に自己心膜などの自己組織を利用する修復法を採用しているが,使用可能な自己組織にも限界がある.このように,よりよい血管代用物の開発は,心臓血管外科領域,特に小児領域で切望されている.すなわち,移植直後から生体適合性を有し,かつ移植後に再手術が不要で,成長の可能性がある,「生きた」補填物が模索されている.
再生医工学(Tissue Engineering)は,臓器移植のドナー不足が深刻化するのに伴い,1980年代後半に米国で提唱された概念である1).工学と生物学とを応用し,生体吸収性ポリマーを足場(scaffold)として培養細胞から小組織をin vitroで作製しようという新しい学際的研究分野である.すでに,臨床においては,皮下細胞(dermalfibroblasts)を用いたTissue Engineered Skinの移植手術が数百例行われている.その他,骨組織,軟骨組織,尿管組織,心臓弁膜組織,血管組織などの各分野において活発な研究が進行している.
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