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はじめに
培養細胞を利用して使用可能な組織を作成するティッシュエンジニアリングという概念が発表されたのは1980年代の後半である。すでにティッシュエンジニアリングという言葉は米国では広く認知されるに至っている1)。また,細胞培養技術の発達により細胞を用いた医療も徐々に普及してきている。皮膚,軟骨などのティッシュエンジニアリングはすでに臨床応用もなされ企業化の方向へ向かっている。本邦においても,再生医療という言葉で認知されるようになり,政府のミレニアムプロジェクトの予算も計上されている。
小児心臓外科領域では,先天的に肺動脈が欠損または低形成の場合,肺動脈再建に異種心膜または人工血管を用いた再建術が行われてきた。しかし,成長期にある小児においては遠隔期の石灰化,導管の劣化,再狭窄のため再置換手術が必須となっている。近年では術後の再手術を回避する目的で可及的に自己組織(自己心膜など)を利用する修復法を採用しているが,使用可能な自己組織にも限界がある。よりよい生体適合性をもった血管代用物の開発は切望されている。
Tissue engineering (TE) is a new discipline that offers the potential to create replacement structures from autologous cells and biodegradable polymer scaffolds. Because TE constructs contain living cells, they may have the potential to grow, self-repair, and self-remodel. The application of this technique to cardiovascular surgery was pioneered by Drs. Mayer and Vacanti at the Children's Hospital, Boston, in 1994. They showed the feasibility of tissue engineering to create pulmonary valve leaflets and pulmonary artery in a laboratory model.
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