Japanese
English
綜説
心血管前駆細胞と再生医療―末梢血管から心臓まで
Regenerative Medicine by Cell Therapy for Cardiovascular Diseases
松原 弘明
1,2
,
王 英正
2
,
辰巳 哲也
1
,
神畠 宏
3
,
岩坂 壽二
3
Hiroaki Matsubara
1,2
,
Hidemasa Oh
2
,
Tetsuya Tatsumi
1
,
Hiroshi Kamihata
3
,
Toshiji Iwasaka
3
1京都府立医科大学大学院循環器病態制御学
2京都大学医学部附属病院探索医療センター「心不全への細胞移植プロジェクト」
3関西医科大学第二内科・心臓血管病センター
1Department of Cardiovascular Medicine, Kyoto Prefectural University of Medicine
2Cardiac Stem Cell Project,Translational Research Center, Kyoto University School of Medicine
3Second Department of Internal Medicine, and Cardiovascular Center, Kansai Medical University
pp.819-825
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100346
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はじめに
本邦における心血管系の再生医学の一つの起爆剤は1999年の2月に脳死患者から行われた心臓・肝臓・腎臓の臓器移植に始まる.もう一つの大切な要因は,1998年の11月に米国ウィスコンシン大学がヒトES(胚幹細胞)細胞を発表したことである.同時期に末梢血には骨髄から動員された血管内皮前駆細胞(EPC)が存在すること1),血管内皮増殖因子のvascular endothelial growth factor(VEGF), fibroblast growth factor(FGF), hepatic growth factor(HGF)の蛋白・遺伝子血管新生治療2),心筋細胞が骨髄間葉系幹細胞3)だけでなく造血系幹細胞4~6)からも分化可能であることが最近報告された.われわれは,閉塞性動脈硬化やBurger病など虚血下肢に対する骨髄単核球細胞移植を用いた血管新生治療の効果を二重盲検試験で確認してきた7).このように,心血管系での再生医学研究は新世紀を迎え従来の研究室レベルでの基礎研究が臨床応用へと融合した.
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