Japanese
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特集 心血管系における再生医療・遺伝子治療
血管の再生医療
Clinical Application of Blood Vessel Regeneration
宮田 哲郎
1
,
小山 博之
1
Tetsuro Miyata
1
,
Hiroyuki Koyama
1
1東京大学医学部附属病院血管外科
1Division of Vascular Surgery, Department of Surgery, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo
pp.377-383
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902455
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はじめに
いま再生医学・再生医療が次世代の医療として注目されている.再生医学とは形態・機能的損傷を受けた臓器を,ハイブリッド人工臓器,細胞移植,遺伝子治療により代替補償していく試みと定義される.しかしながら,とかげなどのように再生能力をもっている生物と違って,人間の場合は本来再生できない組織を再生させなければならない.全てのものに分化できるというヒトES細胞のcell line開発によって初めてその実現の可能性が生じてきた.現在,臨床応用には未だ距離はあるものの,発生の仕組みの解明,組織再生修復のメカニズムの解明といった基礎テーマも含めホットな研究が進められている.
組織を再生させる試みとしては,1)人工材料と培養細胞によりex vivoで臓器を構築してそれを移植する,2)増殖因子投与により内在組織幹細胞を活性化させる,3)幹細胞自体を移植するという方法が考えられる.これの循環器疾患への応用の一つに血管再生があり,ex vivoで大・中血管そのものを作り上げることから,体内で小・毛細血管レベルの血管を増生させることまでその幅は広い.
本稿では臨床的に何が求められているかを改めて確認しながら,血管外科医の立場からみた血管の再生医療の現状と今後の展望につき,大・中血管の再生と小・毛細血管の再生に分けて述べる.
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