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特集 心血管系における再生医療・遺伝子治療
閉塞性動脈硬化症の遺伝子治療
Gene Therapy for Arteriosclerosis Obliterans
古森 公浩
1
,
杉町 圭蔵
1
Kimihiro Komori
1
,
Keizo Sugimachi
1
1九州大学大学院消化器・総合外科(第二外科)
1Department of General Surgery, Faculty of Medical Sciences, Kyushu University
pp.357-362
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902452
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はじめに
閉塞性動脈硬化症をはじめとする慢性動脈閉塞症に対する血行再建術において,大動脈腸骨動脈領域の閉塞病変に対するバイパス術の5年開存率は90%以上であるのに対し,鼠径部以下の膝窩動脈領域あるいは膝下,下腿三分枝へのバイパス術では,未だに約20〜30%の晩期閉塞がみられる1).その主要因である血管内膜肥厚はPTAやステント留置後の再狭窄の原因でもあり,血管外科医にとって解決すべき問題点である2〜5).また,血行再建術の適応にならない重症虚血肢は下肢切断になる可能性が高く,新しい治療法が望まれるところである.
近年,生体内遺伝子導入技術の進歩により,いくつかの内膜肥厚制御に有効な治療遺伝子が動物実験レベルで明らかとなり,その一部は遺伝子治療による代用血管吻合部内肥厚制御を目的とした臨床試験が米国において開始された6).一方,重症虚血肢に対し治療的血管新生療法が有効であるという報告があり7),新しい治療法の一っとして注目されている.
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