Japanese
English
特集 呼吸器疾患のQOL
肺癌患者のQOL
Quality of Life of Patients with Lung Cancer
佐伯 英行
1
,
江口 研二
2
Hideyuki Saeki
1
,
Kenji Eguchi
2
1国立病院四国がんセンター外科
2国立病院四国がんセンター内科
1Department of Surgery, National Shikoku Cancer Center
2Department of Internal Medicine, National Shikoku Cancer Center
pp.259-268
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902438
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はじめに
肺癌は,1998年から本邦における悪性腫瘍死の第1位となり,現在もその罹患率は上昇傾向を示している.しかし,肺癌の治療成績は5年生存率が20%前後と不良で,治療成績向上の努力は続けられてはいるものの厳しい状況が続いている.一方では,癌治療の現場へも患者の権利に対する意識の高まりから情報の開示が進むようになり,病名告知を含めたインフォームド・コンセントが重視されるようになったが,それに伴う患者の精神的負担も増加していると想像される.また,最近の医療現場には,患者のquality of life(QOL)を尊重する傾向が強まり医療の内容も変わりつつある.手術適応のない肺癌患者の場合,cureよりもcareに重点を置いた医療が必要と考えられるようになり,QOLの維持・改善をめざした対応が主流となりつつある.肺癌の根治を期待する手術療法についても,低侵襲手術への努力が盛んとなりQOLを考慮に入れた治療計画が検討されるようになっている.
本稿では,肺癌の非観血的治療におけるQOL研究の概要とともに,実際に手術療法を受けた患者の術後QOLの経時的変化についても述べる.
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