別冊秋号 透析と麻酔
PART1 透析医療について
9 透析患者のQOL
辻本 康
1,2
1京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康増進・行動学分野
2おく内科・在宅クリニック
pp.71-76
発行日 2023年9月20日
Published Date 2023/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200358
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本稿では,透析患者におけるquality of life(QOL)についての概要を説明する。透析患者のQOLは一般集団と比べて低く,倦怠感や筋力低下,うつ,睡眠障害といった症状が併存しやすいことに注意が必要である。また,透析患者は,自身の疾患に強い負担感をもっている可能性が高いことにも配慮されたい。透析患者のQOLを評価する際には,Kidney Disease Quality of Life Short Form(KDQOL-SF)など国際的に使用されている尺度を使うとよいだろう。QOLのような患者報告式アウトカムを解釈するうえでは,臨床的に意味のある最小の差minimal important difference(MID)を念頭に置くことが重要である。周術期において透析患者のQOLをいかに保つのかについては,研究課題が多く残されている。
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