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特集 呼吸器疾患のQOL
睡眠時無呼吸症候群のQOL
QOL in Patients with Sleep Apnea Syndrome
高崎 雄司
1
Yuji Takasaki
1
1太田記念病院睡眠呼吸障害センター
1The Center for Sleep Disordered Breathing, Ohta General Hospital Foundation, Ohta Memorial Hospital
pp.269-274
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902439
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はじめに
睡眠中に無呼吸を繰り返す睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)は,上気道の虚脱に基づく閉塞型(obstructive SAS:OSA)と,呼吸中枢からの換気命令の消失による中枢型(central SAS:CSA)とに分けられる.型別罹患率はOSAが圧倒的に高く,OSAとCSAの比は10:1と予測するものもある.
OSAやCSAといった,無呼吸の発生病態の相違とは無関係に,SASでは無呼吸発生のたびに脳波上覚醒波を伴う.このことは重症度が増し無呼吸の発生頻度が増加すれば,昼間時の傾眠(excessive daytime sleepiness:EDS)が高度となることを意味する.この結果,SASが重症であれば,判断力や認識力の障害と,集中力の欠如といった状態に陥ることになり,就労者であれば労働災害の原因になるであろうし,ドライバーであれば交通事故を惹起する可能性が増大する.内科的疾患との関連は,CSAでは未だ明らかではない.しかし,OSAでは無呼吸に伴う低酸素血症が頻回の覚醒を引き起こし,この覚醒が交感神経系の過緊張を惹起,高血圧,虚血性心疾患,脳梗塞など,重大な疾患の発症の誘因となることが,すでに明らかにされている.
このようにSASでは,日常生活のさまざまな側面で,最終的には生活の質(quality of life:QOL)を低下させてしまうのである.ここでは,QOLに多大な影響を与える交通事故や小児の学習障害などに焦点をあてつつ,SASとQOL低下につき言及する.
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