今月の主題 テーラーメイド医療と臨床検査
話題
薬物の血中濃度モニタリングとテーラーメイド医療
森田 邦彦
1
,
山吉 康子
1
,
早川 智久
1
,
谷川原 祐介
1
Kunihiko MORITA
1
,
Yasuko YAMAYOSHI
1
,
Tomohisa HAYAKAWA
1
,
Yusuke TANIGAWARA
1
1慶應義塾大学医学部薬剤部
キーワード:
薬物血中濃度モニタリング
,
遺伝子多型
,
薬物体内動態
,
テーラーメイド医療
Keyword:
薬物血中濃度モニタリング
,
遺伝子多型
,
薬物体内動態
,
テーラーメイド医療
pp.68-71
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905020
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1.はじめに
有効安全血中濃度域の狭い薬物を対象とする薬物血中濃度モニタリング(Therapeutic DrugMonitoring;TDM)がわが国の医療現場に導入されて20年が経過した.表1に示すように,現在,抗てんかん薬,強心配糖体,気管支拡張薬,抗不整脈薬,抗生物質,免疫抑制薬,抗悪性腫瘍薬など,その対象薬物は約40品目を数える.
このTDMの導入によって,従来は勘と経験に頼って"さじ加減"で実施されてきたこれらの薬物の用量設定は,血中濃度という科学的根拠に基づく個々の患者に見合ったそれへと飛躍することになった.まさに今日,声高に叫ばれるようになったテーラーメイド医療の幕開けと言えよう.さらに近年,これらTDMデータの集積と歩調を合わせて,薬物の体内動態面や効果・副作用発現面での個人差を説明する因子として,cyto-chrome P 450(CYP)をはじめとする薬物代謝酵素やP-glycoprotein (P-gp)などの薬物輸送担体の遺伝子多型が注目され始めている(表1).
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