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特集 呼吸と循環のパソコンソフトウェア
麻酔シミュレータ
Anesthesia Simulator for Education
落合 亮一
1
Ryoichi Ochiai
1
1慶應義塾大学医学部麻酔学
1Department of Anesthesiology, School of Medicine, Keio University
pp.977-984
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902361
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開発の意図
麻酔科の授業を担当してもっとも困るのは,手術室の経験のない医学生に麻酔をどのように理解してもらうかという点にある.手術や画像診断は理解が比較的容易で,病変を提示することによって切除部位や再建方法を説明することは困難なことではない.しかし,睡眠とは異なる麻酔状態を理解することは難しく,麻酔薬の薬理学的特性や生体反応を言葉で説明しても理解には限界がある.特に,麻酔中の全身管理は手術の進行に応じて,リアルタイムに判断し処置を行う必要があり,麻酔科医の思考過程や処置の合理性について,講義で再現できるような環境を模索していた.
救急医学のシミュレーションソフトウェア(SIM COEUR)で文部大臣賞を受賞したグループ(NECソリューションズ文教ソリューション事業部)と別件で会合するチャンスがあった1).麻酔中には意識がないため機器によって全身状態を評価すること,つまり患者とのインタフェースがモニター機器であり,シミュレーションに適していること,麻酔管理に用いる薬剤は全て静注薬であり,薬理学的シミュレーションが比較的容易であること,手術侵襲に対する生体の反応はアドレナリンの分泌を介することが多く,薬理学的シミュレーションに近似することなどを説明したところで,ご理解をいただき麻酔用シミュレーションソフトの開発が決定された.
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