Japanese
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Current Opinion
IIIA期肺癌の治療―N2症例を中心に
Current Treatment for Stage IIIA Non-small Cell Lung Cancer
岩崎 正之
1
,
井上 宏司
1
Masayuki Iwasaki
1
,
Hiroshi Inoue
1
1東海大学医学部外科学系呼吸器外科学部門
1Department of Surgery, School of Medicine, Tokai University
pp.587-590
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902304
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■非小細胞肺癌治療をめぐる最近1年間の話題(外科療法を中心として)
わが国の肺癌患者数は先進国であるにもかかわらず依然として高い喫煙率のために10年後には現在の約2倍近くに増加すると予測されている.特に,若い女性の高喫煙率は現在の予測をはるかに上回る影響を及ぼすのではないかとする警告も出されている.
このような社会情勢のなかで,肺癌に対する治療方法は外科療法を何らかの形で寄与せしめられた症例でないと治癒する可能性はなく,化学療法が進歩してきたといえども肺癌全体の5年生存率は10%程度と,他の悪性腫瘍に比べても極めて予後不良であるという現実は否めない.NorthCarolina大学のSchroenらによるアンケート分析では,全米2,000人の呼吸器内科医および呼吸器外科医によるとStage I切除症例でも5年生存率は18〜30%としている1).この報告は,やや生存率が低すぎるように感じられる.1996年の日本呼吸器外科学会からの報告では,外科療法を行った各臨床病期別の5年生存率は以下のとおりである.I期:68.6%,II期:47.2%,IIIA期:27.5%.いずれにしても,リンパ節転移がないと診断された早い時期の肺癌手術症例でも約30%の症例に再発が出現する事実は多くの報告2,3)でも確認されており,微小転移の存在が予後に大きく影響していると考えられている.
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