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特集 循環器系薬剤の新しい視点—検証と展望
抗血小板薬(GP Iib/IIIa阻害薬)
Anti-GPIIb/IIIa Agents:New antiplatelet drugs
後藤 信哉
1
Shinya Goto
1
1東海大学医学部循環器内科
1Division of Cardiology, School of Medicine, Tokai University
pp.119-125
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902418
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血栓形成における血小板の役割
不安定狭心症,急性心筋梗塞などのいわゆる急性冠症候群と一括される疾患は,冠動脈内の動脈硬化巣の破綻を契機とする内膜損傷と,引き続く冠動脈の血栓性閉塞により惹起されると理解されている1,2).冠血流下では,液相で段階的に活性化される凝固系より血小板が血栓形成により深く関与する3).実際,不安定狭心症を対象とした大規模臨床試験において,比較的弱い抗血小板薬であるアスピリンにより,ヘパリンによる強力な抗凝固療法と匹敵する心筋梗塞発症予防効果が確認され4),二次予防試験の結果(図1)5)も併せて冠血栓の形成における血小板の関与の重要性は広く信じられるに至った.
血小板による血栓形成メカニズムは,従来,血小板をADP,thrombinなどの液性の活性化物質により刺激し,その後撹拝して惹起される血小板凝集を指標として検討された.血小板を活性化させると表面に存在する膜糖蛋白であるGP IIb/IIIaの高次構造が変化し,フィブリノーゲン,von Willebrand因子,vitronectinなどの血漿蛋白と結合できるようになる6).健常人の血漿中ではフィブリノーゲンの濃度が相対的に高いため,活性化血小板がフィブリノーゲンを架橋として凝集する(図2)7).フィブリノーゲンとGP IIb/IIIaの結合が,血小板凝集に至るfinal common path—wayと理解され,この結合をブロックすることにより強力な抗血栓薬が開発できると期待された.
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